かめや釣具

絞め処理〔船長は絞め処理をしません〕

魚を釣った後の絞め処理について〔船長は絞め処理を行いません〕

折角、活きのいい魚を確保できましたので、なるべく美味しく頂いて余韻に浸るも良し、家族にも喜んでもらえるようにしたいものです。

釣れたら直ぐに絞め処理を行います。もちろん、釣り優先で絞め処理を後回しにすることも可能ですが、折角頂いた命ですから美味しく頂くことも釣人の使命と思います。

絞め処理にもいくつかの手順があり、また地域や個人によってもやり方が異なりますが、大きく分けて血抜と神経の切断となります。

まず、小型の魚であれば鰓の間からナイフを差し込んで背骨を切断します。

これにより背骨の上部にある神経の管と、背骨の下部にある血管の管が切断されます。

 

皿に盛り付けることを考えると、鯖折で頭が千切れるような形ではなく、頭を右に尻尾を左に、向けた状態でナイフで絞め処理をすることで、皿に盛り付ける頭が左で、尻尾が右にしたときに傷も見えず、見た目も美味しく盛り付けが出来ます。

 

背骨を切断したら、そのまま海水を入れたバケツに漬けておくことで血抜ができます。心臓から血管は全身に繋がっていますので、背骨を切断後直ぐに尾の部分も切断すると戻ってくる血の圧力が無くなり、血抜が不完全に終わることもあるので注意が必要です。

5~10分程度海水につけて鰓の色が血の赤から、薄ピンク色に血の抜けた色になっていれば、血抜は完了です。

注意点は放置されて動かなくなった、苦悶死した魚は心臓が動いていませんので血抜はできなくなります。

血抜がされていなければ、生臭くなり、刺身で食べるには不向きとなりますし、腐敗を早める原因になります。

神経を切断しなければ無駄に暴れて、体内にあるアデノシン三リン酸が浪費されて旨み成分が減っていき、折角の活きの良さが失われていきます。

大型の魚であったり、高級魚で美味しく食べたいという場合には神経絞めもお奨めです。

神経絞めでは、神経の中に残っている伝達物質を排除することで、細胞へのアポトーシス指令を遅らせ、死後硬直までの時間を伸ばす効果があります。その分、美味しく頂ける期間が長くなります。

血抜の後に行う事が理想です。

大型魚では釣り用ナイフでは背骨が切断できないこともあります。この場合は鰓を切断して血抜を先に行います。そして鰓の色を確認して血抜が出来たと思うタイミングで神経絞め処理を行います。

血抜の終わった魚の尾の部分を切断します。前述のとおり、血抜時に尾も切断してしまうと血抜が不完全に終わる可能性もあります。

尻尾を持ちながら、魚を水平に維持してナイフを尾と背びれの間の部分で切ると、ポキっと折れるように半分切れます。

先にふれたように、背骨の直ぐ上の管に神経が通っていますので、この穴にワイヤーを差し込んで神経物質を押し出します。ワイヤーのサイズは、アジやメバルで1.0mm、ヤズで1.2mm、ハマチで1.4mm、鰤級1.6mmの各サイズがあれば瀬戸内の魚には対応が出来ます。中型魚までは50cm、鰤や鰆には80~100cmの長さがあれば理想です。

折れた背骨の上の管にワイヤーを入れます。神経の管にワイヤーが入ると魚が大きく暴れますので、押さえつけて奥まで何度も動かなくなるまでワイヤーを出し入れします。間違って肉の部分にワイヤーが入ってしまうと暴れませんのでやり直します。また、血抜後相当の時間が経った場合も暴れません。この場合は既に死後硬直が始まっていますので神経絞めの効果はあまり期待できません。

 

神経絞め処理が終わりましたら、クーラーに魚を移動します。注意点は氷と直接に触れないようにすることです。

処理後は魚が発熱するので、痛まないようにクーラーで保管しておきます。

冷蔵庫程度の温度でお持ち帰りすることで、神経絞め処理の効果を最大に発揮できますので、氷との接触を避けるようにクーラーの中に仕切りや、新聞紙等の遮蔽を設けるようにしましょう。

氷と直接触れると身割れを起こしやすくなりますし、死後硬直を早めることにも繋がります。

処理のきちっとされた魚はお造りで美味しく頂きましょう。

生で食べるには刺身、昆布締め、漬け、炙りなど和食の技法は数多くあります。せっかく臭みもなく鮮度のいい魚が手に入りましたので、お好みに合う料理法を見つけて頂ければと思います。