かめや釣具

寄生虫

あまり出会いたくない虫の話です。

青物系を釣っていると大型の個体になれば寄生虫を見る事があります。

アニサキスと鰤糸状虫です。

 

アニサキス

アニサキスは瀬戸内海ではあまり見ないですが、発症の可能性は0ではないと思われます。

アニサキスの最終宿主は海豚や鯨と言われていて、人間には寄生しません。しかし、食したときに元気がいいと胃壁や腸壁を食い破って人の体内に入ろうとして、胃痛、腹痛、嘔吐、酷い時にはアナフィラキシーショックを起こして生命に関わる事態となります。

刺身を食べて上記症状があれば、お医者さんに「刺身を食べたら腹痛が酷い」ということを伝えるだけで内視鏡での駆除に繋がると思いますが、理由が不明だと開腹手術となり、かなり大事になります。知識として知っておけば役に立つかもしれません。

アニサキスの幼虫は長さ2~3cm、幅は0.5~1mmくらいで、白色です。一円玉の中に入る程度のサイズ感です。

人間が食べる魚として、サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、イクラ、イカ、シロウオなどの魚介類に寄生・混入します。最終宿主が食べそうな魚に寄生しています。天然の鮭では平均32匹程度いるとも言われています。

主には内臓に寄生していますが、釣られた魚の変化を感じて筋肉にも移動するため、目視で取り除く事が必要です。

日本海側のアニサキスよりも太平洋側のアニサキスのほうが発症率が高いとの研究もあるようです。

 

厚生労働省の指針では

◆ 新鮮な魚を選び、速やかに内臓を取り除いてください。

◆ 魚の内臓を生で食べないでください。

◆ 目視で確認して、アニサキス幼虫を除去してください。

◆ 冷凍してください。 (-20℃で24時間以上冷凍)

◆ 加熱してください。(70℃以上、または60℃なら1分)

とあります。

注意としては、酢、塩で〆る、山葵、生姜などの薬味、醤油や、刺身をやや薄切りにする、咀嚼などではアニサキス幼虫は死にません。

先人の知恵としては、ルイベのように24時間以上冷凍するか、タタキのように完全に細切れにするなどの食べ方で食していたようです。

釣人としての対策は、釣れたら絞め処理を行いますが、最後に内臓も取り除く事がリスクの低減になると思います。

ブリ糸状虫

鰤糸状虫は鰤系の魚の身の中に寄生しています。暖かい時期に多く、寒い時期には減るといわれています。

魚をさばいていると、皮と身の間や、血合、尾っぽ側などでよく見かけます。50cmまでの魚ではあまり見ないというか、気づかないだけかもしれません。60cm以上のハマチサイズからよくお目にかかります。

通常は、身の中を溶かした感じで穴を作って丸まって潜んでいますが、たまに長さをフルに使う感じで頭から尾っぽにかけて直線的に潜んでいる場合もあります。

ピンク色の細長いミミズのような形状をしています。大型魚では長さが20~50cm以上ある場合も多いです。アニサキスと違い目視で直ぐにわかります。

鰤糸状虫は人にも感染しませんし、食べても問題はないとされています。が、見た目が気持ち悪いです。刺身の裏側などから出てきたり、照り焼き用に厚切りにした身を割って食べようとした時に、こんにちは!と出てくるので精神的に辛いものがあります。

アニサキスは小さいがため気づかずに食べてしまい腹痛を起こしますが、鰤糸状虫は比較的大きいのでさばく時に気がついて取り除けば、問題はありません。潜んでいた穴は糜爛のように爛れて黄白色の水っぽい感じなのでその部分だけ切除して、残りは食べても問題はありません。

昔は寿司屋などで天然の証として見せていたとも伺いますが、ご家族の方は見たくない部類になると思います。大物を釣った時には、さばく時に注意して見かけたら取り除きましょう。刺身は一枚一枚の両側を確認する、照り焼きでも厚切りは可能な限り避けるなどの対策と、もし1匹居たら右側の身と左側の身で対になっていることも多いので、複数匹居ることを前提にしっかりと確認することで精神汚染を防げます。

夏に釣った90cmオーバーの鰤では大小取り合わせで30匹ほど入っていた個体が居ました。限りなく食べるところが無くなってしまいました。平均してハマチ級で3~5匹、メジ級で5~10匹程度潜んでいますが、同じ場所で釣った同サイズの個体でも虫がいたり、居なかったりします。幼少期に食べた餌が関係しているとも言われますが、詳しい研究の論文を見たことがありません。

 あと、海水で過ごす生き物なので真水につけておくと浸透圧の関係で数分で弾けますので注意が必要です。